専門家が遺言書を作成するべきと思う人たち10人
目次
- ○ 専門家が遺言書を作成するべきと思う人たち10人
- ・子どもがいないご夫婦
- ・再婚して前の婚姻時に子どもがいる人
- ・相続人同士の仲が悪く、自分の死後に遺産分けでもめそうな人
- ・法定相続人ではない者(内縁の妻夫、孫、介護でお世話になった人)に財産をあげたい人
- ・相続人がたくさんいる人
- ・行方不明の推定相続人がいる場合
- ・会社や事業の代表者
- ・お墓や仏壇などの承継者を決めておきたい人
- ・分けにくい相続財産しかない人
- ・自分の死後、その財産を公益活動など、社会に役立てたい人
- ・まとめ
専門家が遺言書を作成するべきと思う人たち10人
子どもがいないご夫婦
遺言書を作成せずに配偶者(夫または妻)が死亡した場合には、亡くなった方の親(または祖父母)が存命の場合は配偶者に2/3、親(または祖父母)が先に死亡していて、亡くなった方の兄弟がいるときは3/4が残された配偶者の法定相続分となっています。自分が亡くなったときに全財産が配偶者に相続されると勘違いをしている方が結構いらっしゃいますので、子どもさんがいらっしゃらないご夫婦は、元気な間に遺言書を作成しましょう。
血のつながりのない義父母や義兄弟と、遺産分割協議をするのはできれば避けたいところです。
再婚して前の婚姻時に子どもがいる人
離婚した相手との間に子どもがいて、親権がなく相手が引き取って、長年面識がなかったとしても、その子どもは相続人です。
再婚した方の配偶者は(再婚者との間に子どもができた場合はその子どもも含みます)離婚した相手との子どもとの間で遺産分割協議をする必要があります。相続人同士の関係を考えると、遺産分割協議がスムーズに進まない確率が非常に高いです。
遺言書を作成しておくことで、自分の最後の意思を相続人に伝えることができます。
相続人同士の仲が悪く、自分の死後に遺産分けでもめそうな人
遺言書を作成していない限り、法定相続分で相続するか、相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。相続人同士の仲が悪いときには、話し合いがスムーズにいかず、もめてしまう可能性があります。
子ども同士の仲が悪い場合は、親のいなくなることで態度が変わったり、相続人の配偶者(妻または夫)が口出ししてもめたりするケースがよくあります。
このようなことが想定される場合には、遺言書を作成するべきといえます。
法定相続人ではない者(内縁の妻夫、孫、介護でお世話になった人)に財産をあげたい人
自分が世話になった知人に財産の一部を渡したい場合や、法定相続人ではない親族(孫や兄弟の子どもなど)に財産を渡したい場合には遺言書を作成することで、実現できます。
また、婚姻届を出していない内縁関係にある場合には、相続権がありませんので遺言書を作成しない限り自分の死後に財産を渡すことができません。
相続人がたくさんいる人
人数が増えれば増えるほど話をまとめるのは難しくなります。遺産分割協議という話し合いは、多数決ではいけません。相続人がたくさんいる場合、全員が合意するのが難しくなります。特に相続人間で経済格差があるような場合には、まとまりにくくなります。
それ以外にも、相続人同士が北海道、九州、東京、大阪と、遠方に居住している場合にも話し合いすらできない、というケースもありますので遺言書を作成するべきといえます。
行方不明の推定相続人がいる場合
遺言書を作成していない場合の相続手続は、法定相続または遺産分割協議による話し合いで相続財産の割合を決めることになります。
しかし、相続人の中に行方不明の方がいる場合、裁判所への申立てなど面倒な手続きをしないと相続手続ができないケースがあります。
会社や事業の代表者
事業をしていてその事業の後継者を指定し、その方に事業の基盤である土地や事務所、工場及び株式などを譲渡したい場合には遺言書を作成しておかなければ、他の相続人と話し合い(遺産分割協議)が成立しないと事業の継続ができなくなる可能性があります。
例えば、中小企業の社長が死亡し、相続人が複数いて、そのうちの一人が会社を承継したい場合、社長が保有していた株式を誰が相続するのか確定しない限り、株主総会で次の取締役を選任することができません。取締役が死亡した社長しかいなかったとしたら、社長の後任を選任することができるまで、社長不在となり、事業がストップしてしまいます。
事業をされている方は必ず、遺言書を作成することを検討しましょう。
お墓や仏壇などの承継者を決めておきたい人
お墓や仏壇、位牌、家系図など、先祖を祀るために代々受け継がれてきた祭祀財産(さいしざいさん)を受け継ぐ人を遺言書で指定することができます。遺言書で指定がない場合の祭祀財産は慣習に従って祖先の祭祀を主催する人が相続することになります。
慣習や相続人の話し合いでもまとまらなければ、家庭裁判所の調停か審判によってお墓の承継者が決まることになります。
分けにくい相続財産しかない人
相続人に渡せる財産がマイホームしかない、そのマイホームに相続人の一部の人が同居しているような場合には、その相続人は住むところが必要です。それ以外にも不動産は自宅と別荘二つあるが相続人が3人いるような場合、売却して売却代金を相続人で分配する以外、そのままの状態では相続人で分けることが難しくなります。
このように分けにくい相続財産と家族構成に該当する場合には、遺言書を作成しておいた方がいいでしょう。
自分の死後、その財産を公益活動など、社会に役立てたい人
死後に、遺産の一部または全部を社会に役立ててほしいとお考えの方は遺言書を書く必要があります。また、どこの団体に寄付をするかによって、受け入れ方法が異なりますので寄付先の団体へ確認しておく必要があります。
まとめ
遺言書を作成する場合は家族構成、その家族の生活状況、家族の気持ちを汲んで作成することがポイントです。一番大事な家族の気持ちを考えずに、遺言書を作成すると家族間の争いの元になる可能性があります。
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